熊本家庭裁判所 昭和30年(家イ)217号 審判 1955年11月21日
申立人 山本マツエ(仮名)
右法定代理人親権者母 山本時子(仮名)
相手方 米田治(仮名)
主文
相手方は申立人の子であることを認知すること。
理由
本件請求の要旨は、申立人は真実相手方の子であるに拘らず、相手方は、相手方が申立人の母時子との間に情交関係のあつたことは認むるも、その頃母時子は数名の他の男と情交関係を結び居り、申立人が果して相手方の子であるか否か不明であるので本件請求に応ずることは出来ないと主張するので、本件請求に及んだ次第であると謂うにある。
仍て審判するに、相手方が申立人の母時子と其の頃情交関係を結んで居たことは当事者間に争の存しないところである。然れども相手方は、申立人の母時子は其の頃他の数名の男と情交関係を結んでいたので、申立人が果して相手方の子であるか否かは不明であると主張するにより、審按するに証人川田利一、和山幸政、園池明、西田由枝の各証言並に鑑定の結果及び申立人母時子、相手方米田治の各本人訊問の結果を各綜合考覈すれば申立人は申立人の母時子と相手方との間に生れた子であつて、相手方以外の他の男との間に出来た子でないことを明認することが出来る。仍て申立人の本件請求はその理由あるものとして家事審判法第二十四条により主文の如く決定する。
(裁判官 永井寿吉)